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相電力で加速し全速度に達し、全負荷を背負って運転を続けることが出来る。
この理由は次のように考えられている。
即ち、一つの交流磁界は、同じ角速度をもって、反対の方向に回る回転磁界faとfbの合成と考えられる。即ち単相誘導電動機の作用は、あたかも相回転を異にする2つの3相誘導電動機の作用を合成したものと考えられ、図28は、faによるトルクTaと、fbによるトルクTbを合成して単相誘導電動機のトルクTが得られる模様を示したものである。
この合成トルクはTは、スベリが1の時零であるから先にも述べた様に自力で始動することは出来ないことが解る。
さて巻線形単相誘導電動機の2次側へ抵抗を入れ、その値を次第に増やしていくと比例推移(電気計算編6.3.7(5)参照)により停動トルクは次第にスベリの大なる方へ移動して行き2次抵抗が或る値の時例えばfaによるトルクがT6、fbによるトルクがTb'となったたとすると定格回転数における合成トルクT’は負の値となっている。従って電動機は制動されることとなる。
以上電動機の制動法について述べて来たが、実際に一般の船舶において電気的制動法が使用されているのは電動甲板機械及び電動荷役装置に回生制動が用いられている程度である。

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図28 単相誘導電動機のトルク曲線

 

 

 

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